わんちゃん・ねこちゃんの脳の病気❀❀

大切な家族である、わんちゃん・ねこちゃん。いつまでも甘えん坊なかけがえのない家族。
いつまでも子供のような存在ですが、高齢になってくると色んな心配が出てきます。
その中でも、
脳の病気は怖いものです。疾患によっては、思うように身体が動かなかったり、今まで出来ていたことが出来なくなったり・・
飼い主さんも戸惑ってしまう事もあるかもしれません。
わんちゃん・ねこちゃんの、ちょっとした変化に少しでも早く気づける為にも脳の病気には
どんなものがあるか知っておく事はとても大切なことです。

 

いぬのきもち&ねこのきもち

 

脳腫瘍

脳腫瘍」は中年齢~高年齢のワンちゃんやネコちゃんに多い病気です。

脳腫瘍には、脳そのものに腫瘍が出来る原発性脳腫瘍」と他の臓器に出来た悪性腫瘍が脳に転移した転移性脳腫瘍」があります。

また、脳腫瘍は脳の圧力が高くなり脳ヘルニア」になってしまうと、一気に症状が悪化してしまいます。

脳腫瘍は放置しておくと命に関わる病気ですので、早期発見・早期治療が最も大切です。

脳腫瘍の症状

脳腫瘍の症状は、ワンちゃんとネコちゃんで少し異なります。

ワンちゃんの場合。。

ワンちゃんの場合、一番多いのが「痙攣(けいれん)」(てんかん発作)です。

この他にも怒りっぽくなったり反応が鈍くなったりの「性格の変化」・ふらつきなどの「歩行障害」です。

徘徊行動認知症を疑う症状が出ることもあります。特に高齢になって初めて「痙攣(けいれん)」(てんかん発作)が出たときは注意が必要です。

➡➡ 認知症についてはコチラ・・

ネコちゃんの場合。。

ネコちゃんの場合、腫瘍がゆっくり大きくなる場合が多いため、典型的な症状が見られない事が多く、「何となく元気がない」症状が続き、腫瘍が大きくなって発作などの症状が出てくることが多いようです。

脳腫瘍の診断・検査

まずは、一般的な「身体検査」をします。他の病気が隠れていないか他の臓器などに腫瘍が無いかなどを調べて、「神経学的検査」で脳に異常があるのかどこに異常がある可能性が高いかを調べていき、脳の疾患が強く疑われた場合、「CT」や「MRI」の「画像診断」をします。

しかし、MRI」検査はどの病院でも出来るわけではありません主に大学病院高度な設備の整った動物医療センターなどで実施しています。また、MRI」検査は麻酔が必要な検査になります。

脳に腫瘍が存在している場合麻酔がリスクになる場合もありますので、「MRI」検査の前には麻酔に対しての検査(一般検査や血圧・心電図など)をし、総合的に麻酔のリスクが高いかどうかを判断してからの検査となります。麻酔のリスクが高いと判断された場合無麻酔の「CT」での画像診断になります。

しかし、「CT」は一部の脳腫瘍を検出することは可能ですが、部位によっては検出することが難しくMRI」より検出率は劣ります。

脳腫瘍の治療法

脳腫瘍の治療には、いくつか方法があります。「外科的治療法」「対症療法」「抗がん剤治療」「放射線治療法」などです。

外科的治療法

腫瘍を完全に取り除く事が可能なら外科的治療法」が最も有効な治療法と言われています。しかし、脳腫瘍の外科手術が出来る病院が限られていたり合併症のリスクも高いことから手術が出来ないこともあります。

対症療法

根本的な治療にはなりませんが、高齢のワンちゃん・ネコちゃん他の疾患などリスクを考慮し、手術が困難だと判断された場合に選択されることがあります。神経症状や痛みを抑えるためステロイド剤の投与や、脳圧を下げるため脳圧降下剤の投与「痙攣(けいれん)」(てんかん発作)がみられる場合抗てんかん薬も投与して、生活の質を向上してあげます。しかし、「対症療法」は治療ではなく緩和ケアとなるため、進行が進むと「寝たきり」になる可能性もあり、介護が必要となる場合もあります。

抗がん剤治療(化学療法)

種類によっては、抗がん剤で改善がみられる脳腫瘍もありますが抗がん剤が有効な脳腫瘍は限定的で、副作用も強く出る場合が多いため、抗がん剤治療を選択する場合は、ワンちゃん・ネコちゃんの身体の状態などをよく考えて、本当に抗がん剤治療が必要か獣医師さんともよく話し合うことが大切です。

放射線治療法

外科手術後に残った腫瘍細胞を減らして再発を防いだり外科手術が難しい箇所に腫瘍がある場合などに「放射線治療」が用いられます。腫瘍の場所や種類によっては複数回に分けて放射線治療が行われる場合もあります。しかし、放射線治療も麻酔が必要となりますので、麻酔のリスク身体への負担を十分に考えなければなりません。また、皮膚炎脱毛といった副作用ゼロではないので、獣医師さんとしっかり相談してワンちゃん・ネコちゃんにとって、どの治療方法が良いかよく相談しましょう。

水頭症

水頭症脳室内脳脊髄液(のうせきずいえき)過剰に溜まって拡張し、脳に異常な圧がかかってしまう疾患です。水頭症には「先天性」「後天性」の二種類があります。多くみられるのは「先天性水頭症」です。

先天性の水頭症の場合ネコちゃんより、ワンちゃんに多いと言われています。

水頭症の症状

「先天性水頭症」の場合、症状は通常、生後半年~1年くらいの間に出てくることが多いです。

「後天性水頭症」の場合脳腫瘍脳内出血ウイルス感染や脳の外傷による脳炎などから脳脊髄液の分泌が過剰になってしまい水頭症になることがあります。

圧迫されている部分によって症状は様々ですが症状としては、周囲に興味を示さなくなりボーとしていたり動作が鈍くなったり歩行障害や視覚障害痙攣(けいれん)を起こす場合もあります。

外見の症状では、頭部がドーム型に膨らんだり眼がやや外側の下方向に向いているといった特徴的な症状があります。

水頭症の診断・検査

水頭症の外見の症状は特徴的なので、それが診断のきっかけにはなりますが、神経系の見えない症状もありますので、確定診断にはエコー検査CT検査最も正確に分かるのはMRI検査になります。

ですが、CT検査MRI検査麻酔が必要な検査になりますので、獣医師さんとよく相談をしてから検査方法を決める必要があります。

水頭症の治療法

水頭症の治療は「内科的治療」か「外科的治療」になります。

症状が重度でなく、進行性でない場合は「内科的治療」から始めます。ステロイド脳圧降下剤利尿剤を使用し、脳脊髄液(のうせきずいえき)」の異常な産生脳の圧迫や炎症を抑え水頭症の症状を和らげます。

痙攣(けいれん)の症状がある場合は、抗けいれん薬も使用します。

先天性水頭症の場合完治は難しいため、進行を食い止め、症状を和らげる治療になります。

症状が重度進行性の場合や内科的治療では症状を抑えきれなかったり、効果的でない場合は「外科的治療」になります。

外科的治療では、シャトン」という管を脳からお腹に通し余分な脳脊髄液(のうせきずいえき)を腹腔内に流す脳室腹腔シャトン術という方法の手術が一般的です。

しかし、この手術には専門の獣医師さんが必要で、どの動物病院でも行えるものではありません。

また、術後の感染症のリスクや、脳からお腹につないだ管「シャトンチューブ」が詰まった場合交換の為の再手術が必要な場合もあります。

後天性水頭症の場合は、根本的な原因を突き止めて、その疾患に合った一番良い方法で治療をします。

 

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脳 炎(髄膜脳炎)

脳炎は何らかの原因で脳に炎症が起きる疾患です。また、髄膜(ずいまく)にまで炎症が起きている状態を「髄膜脳炎(ずいまくのうえん)」と言います。脳炎は比較的、若い小型犬に多い疾患といわれています。

脳炎には感染性脳炎非感染性脳炎の2種類あります。

感染性脳炎は、ウイルス寄生虫細菌などの病原体が原因で脳に炎症がおこる疾患です。

非感染性脳炎は、原因は解明されていませんが、免疫異常が関係しているのでは?と考えられています。

ワンちゃんの場合非感染性脳炎がほとんどで、感染性脳炎は希だと言われています。

感染性脳炎には、「犬ジステンパーウイルス」「狂犬病」などのウイルスや細菌寄生虫(ネオスポラ原虫など)真菌(クリプトコッカスなど)などです。

非感染性脳炎には「壊死性髄膜脳炎(えしせいずいまくのうえん)」「肉芽腫性髄膜脳炎(にくげしゅせいずいまくのうえん)」「壊死性白質脳炎(えしせいはくしつのうえん)」などがあります。

ネコちゃんの場合感染性脳炎がほとんどで、猫伝染性腹膜炎ウイルス感染からの脳炎が多いようです。

感染性脳炎には、「猫伝染性腹膜炎ウイル」「猫免疫不全(猫エイズ)ウイルス」などのウイルスや細菌寄生虫(トキソプラズマなど)真菌(クリプトコッカスなど)などです。

非感染性脳炎には「脳腫瘍」や「灰白脳脊髄炎(ねこかいはくのうせきずいえん)」などです。

灰白脳脊髄炎(ねこかいはくのうせきずいえん)」は希な病気ですが、比較的、若いネコちゃんに多い疾患といわれています。

脳炎若いワンちゃんやネコちゃんでも発症するため、まだ若いからと安心は出来ません。

脳炎(髄膜脳炎)の症状

炎症の広がりや場所によりますが元気がなくなった食欲不振、神経症状で、痙攣(けいれん)麻痺歩行障害視覚障害が出てきます。また、攻撃的になったり、性格が変わる子も中にはいます。

ネコちゃんの場合初期症状に発熱が出ることが多いようです。ちょっとした身体の変化から始まり進行が徐々に進むと、歩行障害痙攣(けいれん)などの症状が出てきます。

ワンちゃんの場合初期症状に多いのは、歩行障害(ふらつきなど)です。そして、痙攣(けいれん)発作震え視覚障害などが出てきます。痙攣(けいれん)発作を繰り返す場合、発熱が出ることもあります。

進行が進むと食べ物や飲み物を飲み込めなくなったり意識障害も起こす場合もあり、放置してしまうと命に関わる危険な状態になる恐れもあります。

脳炎(髄膜脳炎)の診断・検査

まずは、脳疾患以外の疑いを検査します。脳疾患以外の病気が疑われた場合その疾患に合わせた治療をします。脳疾患が疑われる場合CT検査」「MRI検査」「脳脊髄液(のうせきずいえき)検査などをします。

これら脳の検査は特殊な検査のため、どの動物病院でも出来る検査ではないこと麻酔が必要な検査であること。という事もありますので、わんちゃん、ねこちゃんの身体の状態なども含めて獣医さんとよく相談をしましょう。

脳炎の治療法

治療は内科的治療が中心の治療になります。

「感染性脳炎」の場合寄生虫が原因の場合は「駆虫薬」、細菌や真菌などが原因の場合は「抗真菌薬」「抗生物質」を使い、その原因の症状や炎症を抑えます。また、猫伝染性腹膜炎ウイル」「猫免疫不全(猫エイズ)ウイルス」が原因の場合根本的な治療法は無く、「抗生物質」や「抗炎症剤」などで炎症を抑え、症状を緩和することを目的とした対症療法になります。

「非感染性脳炎」の場合、はっきりとした原因が不明なため、確実な治療法は現在のところ無いですが、症状や体調に合わせて「ステロイド」や「免疫抑制剤」を使用したり、痙攣(けいれん)が出ている場合は、「抗てんかん薬」を使用しての「対症療法」になります。また、腫瘍がある場合、「放射線治療や「化学療法も用いる場合もあります。

 

肝性脳症(かんせいのうしょう)

肝臓には血液中の不純物アンモニアなどの毒性物質を分解し解毒をする働きがあります。しかし、「肝臓」や「胆のう」の病気によって、肝臓の機能が正常に働かなくなり、本来、解毒されるはずの毒性物質が十分に解毒されず毒素が血液に乗って全身にまわり、やがて脳にも達し、神経障害などの脳障害を引き起こしてしまう病気を「肝性脳症」と言います。

肝性脳症はの原因は、先天性の「門脈体循環シャトン」や「肝不全」、「肝硬変」などの病気で、肝臓の機能不全によって引き起こされます。

門脈体循環(もんみゃくたいじゅんかんシャトンとは。。。

門脈とは、胃腸管や膵臓などの腹部臓器と肝臓をつなぐ血管で、消化管で吸収された栄養分や毒素を肝臓に運んでいます。この門脈に肝臓を迂回する異常な血管(シャトン血管)が形成されている状態を「門脈体循環シャトン」と言います。
生まれつきの遺伝的な奇形としての「先天性」と肝硬変肝炎などから発症する「後天性」があります。
わんちゃんの場合、「先天性」の場合が多いと言われています。

肝性脳症の症状

肝性脳症は、本来、分解し解毒されるはずの不純物やアンモニアなどの毒性物質が解毒されずに、血液にのって全身にまわり、やがて脳にも毒性物質がまわってしまい、様々な影響を及ぼし障害が出てくる病気だと言われていますので様々な神経症状や身体的な症状が出てきます。

ボーッとしていて呼びかけても反応しなくなったり、攻撃的になったりの「性格の変化」、「身体の震え」、同じ方向に円を描くように回り続ける「旋回(せんかい)」行動、「痙攣(けいれん)」、常に首をかしげた状態の「斜頸(しゃけい)」、ふらついたり、上手く立てないなどの「歩行障害」など様々な神経症状が出ます。また、食欲低下ヨダレ嘔吐したり、元気がなくなってぐったりしたり腹水多飲多尿などの身体的な症状も出てきます。

肝性脳症の検査・診断 

まず、血液検査肝臓の状態アンモニアの数値を調べます。肝臓の数値やアンモニアの数値が高ければ肝臓に何らかの機能障害が起こっていると考えられます。そのほか、尿検査レントゲン検査エコー検査などで肝臓の状態などを検査して肝性脳症を引き起こした原因を調べます。この他、必要な検査があれば、その都度検査をします。

肝性脳症の治療法

症状の具合にもよりますが、点滴を受けながらの入院治療になる場合が多いです。

まず肝性脳症を引き起こしている原因の疾患の治療をします。それと同時に、「輸液療法」や腸管から吸収される毒素を除去するため、絶食をして直腸から体内洗浄する「洗浄浣腸」を定期的にしたり、体内でアンモニアなどが生成・吸収されにくくなるようにする「投薬治療」もします。そして、肝臓の負担を軽減するために、低タンパクの食事や無添加の食事に切り替える「食事療法」になります。

門脈体循環シャトンが原因の場合血管異常の病気のため、血管を正常な状態に戻し、血液の流れを改善するために「外科手術」が行われます。

手術前に、造影剤を使い血管の異常箇所を調べてからの手術になります。血管の状態位置、わんちゃん・ねこちゃんの健康状態によっては、手術出来ない場合もあります。

まとめ

脳疾患の症状には様々な症状があり、それぞれ違いはあるかと思います。飼い主さんだからこそ、普段とは違う様子や行動の発見が出来るのだと思います。脳の病気によっては、最悪、昏睡状態になったりする事もありますので早期発見・早期治療はとても大切だと思います。

普段と少しでも様子が違うと感じたら、些細なことでも動物病院で獣医師さんに相談しましょう。

痙攣(けいれん)発作や、異常な行動の場合など、説明が難しい時などは、その瞬間を動画などにおさめて獣医師さんに見せて説明するのが良いかと思います。

脳の病気によっては、若いうちから発症する病気もあります。「まだ若いから。。」と過信するのはよくありません。逆に高齢の場合も「もう歳だから。。」というのも良くありません。

大切な家族である、わんちゃん・ねこちゃんと少しでも永く一緒に過ごせるように、年1回の健康診断毎日のスキンシップを欠かさないようにしましょう。普段の健康管理で防げる病気もありますので、飼い主さんが正しい知識をしっかり持って、少しでも普段と様子がおかしいと思ったら、迷わず先延ばしにせず、動物病院で獣医師さんに相談しましょう。

わんちゃん・ねこちゃんが大好きな飼い主さんと少しでも永く

幸せな時間を過ごせますように・・