わんちゃんの「乳腺腫瘍」✤✤✤

乳腺腫瘍とは。。

わんちゃんの、お乳(乳腺)は一般的に左右5つあります。乳腺には乳汁を分泌する働きがあります。

この乳腺に腫瘍が出来る状態を乳腺腫瘍といいます。腫瘍には「良性腫瘍」と「悪性腫瘍」があり、悪性腫瘍」のものが、一般的に「ガン」と言われています。

「良性」の場合は、少しずつ大きくなっていきますが、「転移」はしないと言われています。

「悪性」の場合は急激に大きくなります。肺やリンパ管に転移することもあり命に関わる場合もあります。

乳腺腫瘍の症状

乳腺腫瘍特徴的な症状は、乳腺組織に「しこり」が出来ることです。「しこり」の硬さや大きさは様々ですが、脇の下から胸や、腹部から内股にかけて広範囲に出来る可能性があるため、日頃からのスキンシップや、診察の際の「触診」はとても大切です。

良性の「しこり」の場合特徴的な症状はなく、小さくて硬いしこりで、しこりの大きさが1cm以下の場合は問題が無いことが多いです。しかし、急に現れた3cm以上のしこりの場合は、悪性」の可能性があります。

乳腺腫瘍のしこりは大きくなればなるほど「悪性」の可能性が高く、転移の可能性も高くなり、摘出手術も難しくなる場合もあります。

悪性の「しこり」の場合しこりが急激に大きくなったりしこりが破裂して出血したりする場合もあります。

そして肺やリンパ節など他の臓器にも転移します。

転移した場合、転移した場所によりますが、リンパ節が腫れたりが出たり腹水胸水が溜まったり、様々な症状が出てきます。

また、乳腺腫瘍の良性と悪性の割合ほぼ50%で、早期に発見し、手術をすることで治る確率が高いと言われています。

初期には良性でも放置して時間が経つと悪性になる場合もあります。しこりが小さい方が手術も簡単と言われていますので、「しこりが良性で小さいから。。」と言って放置したり、手術を先延ばしにしたりしないで、早期発見・早期治療がとても大切です。

乳腺腫瘍の原因

乳腺腫瘍のはっきりした原因は分かっていませんが、女性ホルモン肥満が影響しているのではと言われています。特に強く影響しているのは「女性ホルモン」と言われています。

乳腺の細胞は女性ホルモンの影響を受けて増殖します。その過程で細胞に何かしらの変異が生じると腫瘍化が始まってしまいます。

乳腺腫瘍の検査/診断・治療

診察ではまず、触診で、乳頭やお腹周辺のしこりを確認します。しこりを見つけたら、しこりに針を刺して検査をする「針生検」による「細胞診検査」を行います。この検査は、そのしこりが腫瘍なのかを調べます。また、腫瘍だったとしたら「乳腺腫瘍」なのかを調べます。

この検査では悪性なのか良性なのかまでは分かりません。悪性か良性かの最終診断は、腫瘍摘出後の「病理組織検査」でしか分かりません。

乳腺腫瘍を見つけたら、出来るだけ早く手術するのが原則です。

発見した時は小さくて良性の可能性が高くても、それを放置し、時間が経つにつれ、しこりが大きくなり、それが悪性に変わる可能性があるからです。

乳腺腫瘍の治療は基本、「外科手術」になります。手術方法には3種類あります。

部分摘出法・・良性の可能性が極めて高い場合に、しこりのある部分のみを摘出する方法です。

しかし、この方法の場合、後日、再びしこりが出来たり「良性」とはあくまでも可能性の為「病理検査」で悪性となった場合は「再手術」となるため、ワンちゃんの負担などを考えるとあまりオススメしない先生も居ます。 

片側全摘出法・・一般的に一番多い方法です。片側のリンパ節を含めた乳腺を摘出します。

しこりが両側に複数あり悪性の可能性が高い場合悪性度が高い側を先に摘出し、後日、もう片方を摘出します。 両側を一度に摘出すると、切除する皮膚の部分が大きいため、縫合した部分が離れやすくなるため、可能な限りはこの方法がとられることが多いです。

両側全摘出法・・一度に両側の乳腺を摘出する方法です。この方法がとられるのは、しこりがかなり大きい場合や、両側にしこりがあり、両側のしこりが同等レベルの悪性の可能性が高い場合にとられる事が多いです。

乳腺腫瘍の予防・まとめ

乳腺腫瘍の予防法はただ一つ避妊手術です。初回発情(生理)の前に「避妊手術」をすると100%ではありませんが、かなりの確率で予防出来ると言われています。

しかし、初回の発情(生理)が過ぎたから遅すぎるということはありません。

避妊手術」は乳腺腫瘍の予防だけではなく「子宮蓄膿症」の予防にもなりますし、高齢になると、子宮の病気のリスクは高くなってきます。それらの予防の為にも「避妊手術」はとても大切です。

私も経験しましたが、大切なワンちゃんが高齢になってから手術をしないといけないと言われた瞬間、頭が真っ白になって、不安でいっぱいになります。予防出来たのに私の勝手な思いで防げなかった後悔と悲しみは本当につらいです。

入院中は気が気ではなかったです。電話がなると「もしかしてっ・・」と不安になったり・・・

そんな私なのにワンちゃんは頑張ってくれて元気に帰ってきて、いつもどうり私に甘えてくれました。

他の病気でもそうですが、ワンちゃんの不調に一番に気づいてあげられるのは、いつも側に居る飼い主さんです。普段からスキンシップや観察をして、少しでもいつもと様子が違ったら動物病院で診察してもらってください。

「少し様子をみよう・・」は時には危険な場合もあります。早期発見・早期治療は本当に大切です。

わんちゃんと飼い主さんが末永く楽しい時間を共に過ごせますように・・