猫ちゃんの急性腎不全
急性腎不全は、突然、腎臓が正常な働きをしなくなる病気です。
進行がとても早く、数時間~数日で急速に腎臓機能が低下し、症状も突然現れ、
早期に治療をしないと命に関わる怖い病気です。しかし、「慢性腎臓病」と違って、
早期に適切な治療すれば回復が期待できる病気です。
急性腎不全の症状
初期では、水の飲む量が減ったり、食欲低下、オシッコの量が明らかに少ない、または出ない。
元気もなくなり嘔吐を繰り返します。
進行すると、脱水症状や嘔吐がひどくなったり、痙攣(けいれん)を起こす場合もあります。
急性腎不全の原因
急性腎不全は、腎臓そのものが悪い場合もありますが、「猫下部尿路疾患」による「尿路閉塞」、「心不全」と言った、別の病気が原因で起こる場合や、腎臓が中毒物質によってダメージを受けた場合に起こります。
➡ ➡ 猫下部尿路疾患(FLUTD)についてはコチラ ⬅ ⬅
急性腎不全の原因は、病態によって3つに分類されます。
① 腎前性腎不全(じんぜんせいじんふぜん)
腎前性腎不全は、腎臓が原因ではなく心臓や循環器の障害が原因で、腎臓に流れ込む血液量の減少により生じるものです。
② 腎性腎不全(じんせいじんふぜん)
腎性腎不全は、細菌性腎盂腎炎(さいきんせいじんうじんえん)などの感染症や、中毒物質による中毒症状で腎臓自体に障害が生じるものです。
腎障害を引き起こす可能性のある物質は、ユリや農薬、除草剤、不凍液(エチレングリコール)や人間用の薬(鎮痛剤など)があります。
ユリは花粉を舐めたり、葉っぱや茎、花びらをかじったり、ユリを挿している水を舐めるだけでも急性腎不全を起こす可能性がありますので、植物を飾るときには十分な注意が必要です。
③ 腎後性腎不全(じんごせいじんふぜん)
腎後性腎不全は、「猫下部尿路疾患(FLUTD)」で尿管・膀胱・尿道の疾患により尿が体外に排尿されなくなる「尿路閉塞」や事故や怪我などで尿路が傷ついたりしたことが原因で尿が排泄出来なくなることで生じるもの。
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急性腎不全の治療
急性腎不全になってしまったら、早期に集中的な治療が必要です。
急性腎不全の場合、腎機能が壊れていないうちに、早期に治療すれば、ある程度は回復する可能性があります。
ただ、急性腎不全は命に関わる病気という事と、治療をしてある程度、落ち着いたとしても
「慢性腎不全」に移行してしまう場合もあります。
➡ ➡ 慢性腎不全についてはコチラ ⬅ ⬅
急性腎不全の治療は、早急な治療が必要で、危険性の高い病気ですので、ほとんどの場合、
入院での集中治療になります。
治療法は、原因によって異なりますが、点滴で栄養補給をし、脱水などの改善をして利尿剤などで排尿を促します。尿量が少なかったり、出ない場合は「尿道カテーテル」を通し、利尿剤などを使い、尿量を管理する場合もあります。
他の基礎疾患が原因の急性腎不全の場合は、その基礎疾患の治療も合わせて行います。
嘔吐がひどい場合は、制吐剤や胃液分泌抑制剤、胃粘膜保護剤などで症状を緩和します。
まとめ
急性腎不全は、「慢性腎不全」と違い、早急な治療で回復が期待できます。しかし、
急性腎不全は、進行が早く、何の前触れもなく突然症状が現れます。
急性腎不全になってしまったら、一刻も早い治療が必要です。
急性腎不全の症状が出たり、少しでも様子がおかしいと思った時は、
迷わず直ぐに病院で診察を受けましょう。
予防には、子猫の時からワクチン接種を受けて、感染症予防をきちんとしておきましょう。
猫ちゃんの寝床やトイレは常に清潔にしてあげて、いつでも新鮮な水が飲めるように
してあげましょう。
そして、定期的な健康診断もとても大切です。年に一回は血液検査・尿検査をすることも
猫ちゃんの健康状態を知る良い機会だと思います。
また、腎臓の機能をサポートしてくれる療法食や維持食などのフードやサプリメントを取り入れるのも腎不全の予防法にもなります。
急性腎不全は、進行がとても早く、数時間~数日で急激に腎臓の機能が低下してしまう、命に関わる恐ろしい病気です。しかし、早期に治療すれば回復も期待できる病気なので、
早期発見・早期治療はとても重要なことです。「しばらく様子を見よう」ではなく、
異変に気づいたら直ぐに動物病院で診察を受けるようにしましょう。
日頃から、猫ちゃんとコミュニケーションとって、普段のオシッコ量などを把握して、
異変には直ぐに気づけるようにしましょう。