猫ちゃんの猫下部尿路疾患(FLUTD)✤

猫ちゃんに多い泌尿器系の病気。元々、猫ちゃんは飲水量がが少ない傾向にあるため、

下部尿路疾患(FLUTD)」になりやすいと言われています。

下部尿路疾患とは、「膀胱炎」「尿路結石症」「尿道炎」「尿道閉塞」などの

泌尿器系の病気総称の事を言います。

猫ちゃんの猫下部尿路疾患で多いのが、オシッコの中に、結晶結石ができる尿石症」や

原因不明の「突発性膀胱炎」です。

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膀胱炎

膀胱炎とは、尿を貯めておく膀胱に炎症が起こる症状です。

膀胱炎には、細菌が原因で起こる「細菌性膀胱炎」と具体的な原因が不明な「突発性膀胱炎」があります。

症状

膀胱炎になると、いつもより元気がなくなり食欲不振や嘔吐を繰り返します。

オシッコに行く回数が増えますが、なかなか出なかったり、出ても少量のオシッコしか出なくなります。

そして、血尿が出たり、匂いがキツくなる場合もあります。また、トイレ以外の場所でオシッコをしたりもします。また、痛みが出てる場合オシッコの時に痛そうな鳴き声をあげたりもします。

原因

「細菌性膀胱炎」なら、細菌が原因と分かっているので、ほとんどの場合、抗生物質での治療で治ります。

「突発性膀胱炎」の場合、ストレスが関係しているのでは?と言われていますが、具体的な原因は分かっていません。

猫ちゃんは、それほど水分を摂らなくても生きていけますが、水分摂取量が少ないと尿が濃縮され結晶が出来てしまうこともあります。結晶が出来てしまうと、その結晶が尿道で詰まる原因になります。

猫ちゃんの生活スペースには、なるべく新鮮な水をいつでも飲める場所を作ってあげましょう。

そして、猫ちゃんはきれい好きです。オシッコをしたくてトイレに行っても、トイレが汚れていると、オシッコをしない子もいます。トイレは、いつも綺麗に清潔にしておきましょう。

また、肥満も膀胱炎になりやすいと言われています。

病院での治療

「細菌性膀胱炎」の場合、細菌が原因なので原因菌に効く抗生物質の投与で治療します。

「突発性膀胱炎」の場合確実な原因が不明な為、原因になり得る危険因子を改善していくことが必要です。

また、痛みがある時は「抗炎症薬」での治療をしたり、脱水がみられるときは、皮下輸液での治療もします。

危険因子

肥満肥満体の猫ちゃんは、下部尿路疾患になりやすいと言われています。

食事管理などをして、低カロリーな食事に変えましょう。そして、キャットタワーおもちゃなど、猫ちゃんが上下運動して遊べるようにしてあげるのも良いです。

飲水量不足 ⇨ 水分の摂取量が少ないと尿が濃縮されて結晶が出来やすくなるため、出来るだけ水が飲める場所を増やして、いつでも新鮮な水が飲めるようにしてあげましょう。

また、食事がドライフード中心なら、ウェットフードも加えるなどの改善も良いかと思います。

ストレス ⇨ 猫ちゃんの性格によってストレスの感じ方は様々です。臆病な性格の子は、

来客小さな子供同居猫・同居犬工事の音ちょっとした音でもストレスに感じる子はいます。

また、トイレがいつも汚れていたり、使ってる砂が気に入らないなど、猫ちゃんの性格によって様々です。

猫ちゃんが安心できる避難場所や高い場所・くつろぎスペースなどを作ってあげるのも良いでしょう。

猫ちゃんの性格を理解し、ストレスフリーな生活が出来るように改善してあげましょう。

食事の成分マグネシウム多く含む食事は、尿pHのバランスが崩れてしまう原因になります。

また、カルシウムリンなどの成分も多く摂ってしまうと「尿路結石」の原因になります。

膀胱炎は、尿中のマグネシウムが増加し、尿路結石症を発症し、結石が膀胱を傷つけることで発症します。

フード選びの際は、「マグネシウム」「リン」「カルシウム」の成分値にも気をつけましょう。

尿路結石症

尿路結石症とは、オシッコが作られて排出されるまでの尿路腎臓→尿管→膀胱→尿道)に

結石が出来る症状のことを言います。この結石膀胱や尿道を傷つけたり、尿道に詰まったりします。

結石が出来た場所によって病名は「腎結石」「尿管結石」「膀胱結石」「尿道結石」に変わります。

これらの総称が「尿路結石症」です。

腎結石・・尿路の一番上流に位置する腎臓の腎盂(じんう)内にできる結石のこと。

無症状の事が多く、健康診断などのレントゲン検査で偶然発見されることが多いです。

原因不明の血尿を繰り返す場合もあります。

小さな結石の場合、定期的な尿検査・超音波検査などをして経過観察になります。

血尿や感染症、腎機能障害などがあればそれに応じた治療が行われます。

腎結石は大きくなると、腎臓を内側から圧迫して腎機能に悪影響を及ぼします。

結石が大きい場合外科的治療が行われる場合がありますが、猫ちゃんでは、そんなに大きくなることは少ないようです。

腎結石の中には、尿管に流れ着き「尿管結石」となり、「尿管閉塞」を発症させ「急性腎不全」を引き起こす場合があります。急性腎不全は命に関わる病気ですので注意が必要です。

➡ ➡ 急性腎不全についてはコチラ ⬅ ⬅

尿管結石・・腎臓で作られた尿を膀胱へと運ぶ管状の通り道(尿管)に結石が出来ること

腎臓は左右に2つあるので、この尿管も2本存在します。結石は片方に出来ることもあれば、両方に出来る時もあります。両方の尿管に結石が出来て詰まってしまうと、尿の排出が出来なくなり、排出されるべき老廃物や毒素が全身に回ってしまい「尿毒症」という症状を引き起こしてしまいます。

尿毒症」は重度になると、意識障害や痙攣(けいれん)などの神経症状などが現れることもあります。

尿管が詰まっていなくて緊急性のない場合輸液や利尿剤による内科的治療になります。

尿管が詰まっていたり、内科的治療をしても効果が無い場合には外科的治療になります。

膀胱結石・・膀胱内で結石が出来ること。膀胱結石の多くは、膀胱内で結晶が集まり結石になったものですが、腎臓で出来た結石が尿管を通過し膀胱へ移動してきたものもあります。

膀胱結石は、結石が刺激になったり、細菌感染が起こり「膀胱炎」となります。

尿道結石・・尿を膀胱から体外に排出する尿道に結石が出来ること。尿道結石のほとんどが、腎臓や膀胱で出来た結石が流れ着いた結石です。

尿道に詰まった結石が小さくて多くなければ尿道カテーテルを入れて、詰まっている結石を

水圧などで膀胱へ押し戻して尿道を開通せます。その後、抗生物質抗炎症薬などの薬の投与食事療法での内科的治療になります。

内科的治療で改善されなかったり、尿道結石を何度も繰り返して、尿道が狭くなってしまっている場合外科的治療をする場合もあります。

尿路結石の症状

何回もトイレに行ったり、オシッコが少ししか出ない、血尿、オシッコの時に痛みで鳴く、トイレ以外での粗相、食欲低下や嘔吐、落ち着きが無くなる子もいます。

結石になる前の小さな砂状の物を「結晶」といいます。オシッコをよく観察すると、これがオシッコと一緒に出てきてオシッコがキラキラしていることがあります

 

尿道炎

尿道炎は、細菌感染などにより尿道に炎症が起こる症状です。尿道炎を放置してしまうと、

尿道閉塞」を起こすこともあります。

症状

尿道炎では、炎症による痛みがあります。血尿が出たり、痛みからオシッコの時に鳴き声をあげたり、不快感から陰部を気にしてよく舐めるようになったりします。

原因

陰部を舐める事で細菌が入ってしまったり、猫ちゃんでは尿路結石」が尿道つけてしまい発症することが多いです。

病院での治療

消炎剤抗生物質の投与で炎症を抑える内科的治療になります。

尿道炎は細菌感染で起こる事もあるので、トイレはこまめに掃除をして、いつも清潔にしておきましょう。

また、日頃から陰部を舐める子は歯石などにも注意して、口の中を清潔にしておきましょう。

尿道閉塞

尿道閉塞は、膀胱から体外にオシッコを排泄する通り道の尿道が何らかの原因により詰まってしまい排尿できなくなってしまう症状です。尿道閉塞処置が遅れると命に関わる怖い病気です

症状

初期症状は、何回もトイレに行ったり、オシッコが少ししか出ない、または全く出ない、血尿が出たり、トイレ以外の場所で粗相をするなど、他の尿路疾患と同じような症状がみられます。

オシッコが出ない為、膀胱がパンパンに張っていたりもします。

進行が進むと、オシッコが出ないことにより、排出されるべき老廃物や毒素が全身に回ってしまう尿毒症」や「急性腎不全」になってしまい、命に関わる病気になってしまいます

➡ ➡ 急性腎不全についてはコチラ ⬅ ⬅

原因

尿道閉塞は、結石栓子(炎症産物や細胞が塊になった物)などが尿道に詰まって塞いでしまったり腫瘍が尿道を圧迫したりすることで起こります。また、オス猫の場合、尿道が細長く狭い為、メス猫より詰まりやすいと言われています。

病院での治療

尿道閉塞治療が遅れれば命に関わるので、早急な処置が必要です

まず、詰まっている尿道を開通させる処置をします。

尿道カテーテル」という、滅菌した管を入れて塞がっている尿道を開通させて、

溜まっているオシッコを排泄します。この処置は、痛がる猫ちゃんが多いため、場合によっては

麻酔下での処置をすることがあります。

尿道の詰まりを除去し、オシッコが出た後は身体の状態に合わせて点滴などの処置が行われます。

尿道閉塞の解除が出来ない場合や、再閉塞を繰り返す場合外科手術を選択される場合もあります。

まとめ

猫下部尿路疾患は、治療が遅れると命に関わる病気もあります。特にオシッコが出なくなる症状は、排泄されるべき老廃物や毒素が体内に留まり全身に回ってしまい致命的な状況になってしまいます。

猫ちゃんの泌尿器系疾患には、食事、環境、ストレスなどが関係しているとも言われています。

泌尿器系疾患の予防

●トイレ周りを清潔に保つ

●トイレは静かで安心でき、食事場所寝床の近くではないこと。

●トイレの砂は猫ちゃんにとって好ましい物を使う。あまり肉球身体に付いたりするのは嫌います。出来れば子猫の時から同じ種類の砂を使うのが好ましいです。

排尿時に飼い主さんにじっと見られるとストレスになりますので、観察する際はさりげなくしましょう。

●多頭飼いの場合、それぞれの猫ちゃんに一つのトイレが理想です。

塩分ミネラル脂肪分の多い食事は腎臓に負担をかけるので、バランスの良い食事を与える。

カルシウム・リン・マグネシウムの多いフードは与えず、尿のpHバランスの整ったフードを与える。

●摂取カロリーに気をつけて肥満にならないように注意する。

新鮮な水がいつでも好きなときに飲めるよう、出来れば、数カ所に用意してあげる。

●ドライフードのみではなく、ウェットフードも取り入れてみる。

運動不足にならないように、出来るだけ猫ちゃんと遊んであげて、飼い主さんが居ないときでも、上下運動できようにキャットタワーを置いたりして、運動できる場所を増やす。

●日頃、スキンシップをとりながら猫ちゃんの観察をして、猫ちゃんのちょっとした異変に直ぐに気づけるようにする。

子猫の時からワクチン接種などをして感染症予防をきちんとする。

●年に一回は、血液検査尿検査を含めた健康診断を受ける。

上記のように、トイレはいつも清潔にたもち、食事管理日常管理発症や再発の防止には非常に重要なことです。

食事に関しては、健康バランスの整った維持食や泌尿器系の病気に配慮した処方食療養食などがあります。またサプリメントを取り入れるのも良いと思います。そして、定期的な尿検査もとても大切です。日頃から、猫ちゃんの飲水量オシッコ量回数などを観察して、いつもと様子が違っていたり、尿路疾患の症状か出ていたら、迷わず動物病院で診察してもらいましょう。